自分の中の優生思想と闘って抜けた…

発達障害

自分に差別意識がないと思い込んでいた過去

「優生思想」についての問題を考えることになったきっかけを書く。

私は、人を差別しているつもりはなかったのに、過去に自分を自分で差別というか、卑下していた時期があった。「役に立たない私は生きている意味が有るのだろうか?」毎日そんなことを考えていた。

もちろん、生まれた時からこのような考え方だったわけではない。

当時20代後半で、鬱状態になった。仕事も恋愛も家族も、何もかもうまくいかなかったことが理由。一気に何もかも失った気がして、無力感から鬱になる。一旦ネガティブ思考になると、ドン底まで落ちていった。醜形恐怖症になり、人前に出れなくなって引きこもり、友人の誘いも断り始める。

「誰からも必要とされない私は要らないのではないか」と思ってしまった。

仕事しない、生きるお金を生み出せない私

恋愛がうまくいかず、結婚も出産もしない、未来に子どもを残せない私

家族と社会生活がうまくできない、適応できない私

なーんにも生産性ないじゃない。社会のお荷物。

周りの人達が「普通に」していること。できない私は無能。そう思った。

少し鬱が軽くなり、動けるようになってから、精神科で鬱の治療をしながら発達検査を受けた。診断名は「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」「自閉スペクトラム症(ASD)」「精神遅滞(知的障害)」

原因が分かってスッキリしたものの、「私は無能」だという考えは変わらなかった。

その後、福祉に関わるようになり、それが間違いだと気づいて、正常な状態に戻るまで5年かかりました。

私は「差別」していないと思い込んでいた。「差別はいけないこと」そんなの子どもの時に学校で言われる。知ってる。なのに、平均に満たない、社会不適合者の自分に気づいて、「自分はダメ人間だ」と思い込んだことによって、初めて気づいた、差別意識。「無能な自分は生きてる価値がない」これは…どういうこと?「無能」って何?そんで、調べて見つけたのが「優生思想」という考え方。これと私の意見が重なる部分が多い。多分、鬱にならなかったら、気づかなかったこと。

昔の私のように、鬱になってから、初めて問題意識を持ち始めたので、「優生思想」について書くことにする。

優生思想とは

優生思想とは、「優れた遺伝子を持つ人が増え、劣った遺伝子を持つ人が減るべきだ」という考え方。これが差別や不公平な扱いにつながることがあり、現代では問題視されている。

また、障がい者を介助する人やサポートする立場の人が、不満を持ち、極端な「優生思想」を持つ場合もある。

歴史

優生思想(優生学)の歴史は、社会や科学の進歩とともに大きく変化してきました。

1. 優生思想の起源(19世紀後半)

優生思想は、19世紀後半のイギリスの生物学者フランシス・ゴルトンによって提唱された。ゴルトンは、遺伝学や統計学を用いて、人間社会にも「優れた遺伝子」を広めるべきだと考えた。彼は遺伝によって人間の知能や性格が決まるとし、社会全体が「遺伝的に優れた人々」で構成されるべきだと信じた。

2. 優生思想の広がり(20世紀初頭)

優生学は20世紀初頭、アメリカやヨーロッパで盛んになった。アメリカでは、優生学運動が社会政策に影響を与え、例えば、遺伝的に「劣った」と見なされた人々(知的障害者や精神障害者など)の強制的な不妊手術や、移民制限が行われた。また、社会的な偏見や差別が強まった時期でもある。

3. ナチス・ドイツの優生思想(1930年代〜1940年代)

ナチス・ドイツは、優生思想を極端に発展させ、国家政策として採用した。ヒトラー率いるナチス党は、民族的に「優れたアーリア人種」を作るために、「劣った遺伝子」を排除することを目的とした。これが「人種的浄化」という形で、ユダヤ人、ロマ(ジプシー)、障害者、同性愛者などを対象にした迫害や虐殺を引き起こした。優生学の悪用が最も恐ろしい形で現れた時期である。

4. 戦後の反省と再評価(1940年代後半〜20世紀)

第二次世界大戦後、ナチスの犯罪が明らかになり、優生思想に対する反省と批判が強まった。悲劇を二度と繰り返さないため、優生学に基づく政策はほとんどの国で廃止された。だが、一部の研究者や団体は、遺伝学や医学の進歩をもとに、改良された優生学的アプローチ(例:遺伝子治療や出生前診断)を模索し続けた。

5. 現代の優生思想(21世紀)

現代では、遺伝学や生物学の進歩により、遺伝子操作や選択的中絶などの技術が登場している。だが、このような技術が再び優生思想に基づいて使われることへの懸念もある。特に遺伝子編集技術(例:CRISPR)を使った「デザイナーベビー」の可能性が議論を呼び起こしている。倫理的な問題が重要視され、科学者や政策立案者は、優生学的思想の再来を防ぐための規制や議論が続いている。

まとめ

優生思想は、人間の遺伝的特性を管理しようとする考え方である。私が「役に立つ人間が社会にいれば、それでいいんじゃない?」と思ったことと同じようなことを、私が生まれるよりも、ずっと前から社会全体でやっていた過去もある。

現代では、倫理的な問題として注目されているが、事件やネットの中傷などがある。支援する側の「文句」や「言い分」は「倫理的な問題に関わるからタブー」という言葉では片付けられないほどの苦労があると思うので、次回は、具体例を上げながら、深堀したい。

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